牡蠣 :
アヴァルの断崖(Falaise d'Aval)に行く途中にあった、エトルタのカキの養殖場(le parc à huîtres d'Étretat)は、波打ち際の岩をじかに掘って仕切り、生け簀が設けられていた。これは何よりもここの牡蠣を好んだマリー=アントワネット王妃のために作られたのだった。しかし、牡蠣はエトルタで採れたわけではなく、ノルマンディ半島をはさんだ反対側にあるカンカル湾からもって来ていた。この生簀では、断崖から海にながれ込む地下水と塩分を含んだ海水を代わる代わる浴びるため、数ヵ月たつと牡蠣は繊細な味になる。そうなってからロバや馬の背に乗せられてパリに運ばれていた。この養殖場はもう使われていないが、エトルタのレストランでは地元の牡蠣を味わうことができる。
シードル :
ノルマンディはフランスで初めてシードルがつくられた地域である。生食するりんごよりも小さいシードル用のりんごが原料で、シードルの種類は400もある。ワインやチーズと同様、手作業で念入りにつくられた多くの種類のシードルがあり、一方では大量生産されるシードルもある。エトルタから数kmのところでは、辛口のシードルが醸造されている。
英仏海峡に面した小さな漁村でしかなかったエトルタにとって19世紀は、漁業という昔ながらの生業が徐々に観光に取って代わられ、海辺のリゾート地へと一大変身を遂げる重要な時期だった。1852年にはカジノがオープン。鉄道が敷かれ駅もできたため、エトルタへのアクセスは格段によくなった。美しく、そして大きな別荘が建てられるようになったのもこの頃だった。